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「卒業…か」
小さく、本当に小さく呟いたつもりだったのに、この空の教室では思った以上に響いてしまった。
空っぽの教室。遠くに聞こえる笑い声。何も変わらないのに、もうその日は近付いてきている。
他愛のないことで笑い合った日々はもう戻ってこない。
「…いた」
低く綺麗な声。
よく聞き覚えのあるその愛しい音に振り返ると、
案の定思った通りの彼が教室の戸から顔を出していた。
少し呆れた顔をしている。
「何してんだ、こんなとこで。学校休みだろ」
「どうして分かったの?」
「…勘」
本当に勘なのだろう。
私はここに来ることを誰にも言ってないし、来る途中で誰かに会うこともなかった。
彼と過ごした3年間、彼は本当に私のことをよく知ってる。
「ねえサスケ、そこ座ってよ」
「…」
サスケは私の視線の先を見て、一つ溜息をついて言う通りにしてくれた。
私の二つ、斜め前。サスケと私の場所。
「もう、最後だね」
「別に一生の別れじゃねぇんだから」
「じゃあサスケは寂しくないの?これから別の学校なんだよ?」
「…それでも、会うだろ」
「会いに来てくれる?」
「お前が来い」
「ちょっとー。いつも私から?」
膨れて机に顎を乗せると、サスケは優しく笑い、それを隠すように前を向いた。
ああ、その仕草が好き。
この角度から見る綺麗な耳の形も、声と共に運ばれてくる風に揺れる漆黒の髪も。
「いっつもそうやって盗み見てたよな」
「人聞き悪いなあ。堂々と見てます」
「怖いな」
「自分の彼氏を堂々と見て何が悪いのよ」
ふん、とそっぽを向いて窓の外を覗いた。
私は窓側の席だから、いつも運動場を見ていた。
今日も部活動生だろう、楽しそうな声、真剣な声が聞こえる。
と、振り返ればいつの間にかサスケが机の前に立っていた。
目が会った次の瞬間、当たり前のようにキスをした。
「…教室でしたの、体育会の放課後以来じゃない?」
「…そうかもな」
「先生に見つかったら怒られるね」
「あぁ」
「ねえサスケ」
「ん」
「毎年ここにきてさ、こうやってキスしようよ」
「…なんでわざわざここに来るんだ」
「いいでしょー、それで毎年思い出すの」
「…気が向いたらな」
「もう」
そうは言っても、サスケは優しく微笑んでいたから、きっと一緒に来てくれるのだろう。
そしていつもどおり、優しいキスをしてくれるに違いない。
(思い出は色あせるけれど、1年に1度、あの日々を恋しく思う日があってもいいでしょう?)
NARUTO/サスケ夢