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なきたい
夜もすっかり更けた頃。少し肌寒く、何かが不安で少し目を開けると、隣に彼の姿がなかった。

見失うなよ 己が存在すべき理由をだ

すっかり冷え込んだ外へ、軽く着物を羽織って出た。外は暗く静かだが、星や月は美しく輝いて明るかった。そんな中に私の草履の音だけが響く。

「平助君…?」

探すような、呼ぶような声で彼の名前を言う。すると月明かりに照らされた彼が優しくこちらを振り向いた。

「ごめんな、起こしちゃったか?」
「ううん、大丈夫。平助君、こんなところで何してるの?」
「ん…、ちょっと眠れなくてな。」

やはりまだ夜眠ることに慣れないのだろうか。それは習慣のせいか、将又その流れる血せいなのか。平助君はいつものように笑ってみせる。が、それは自嘲的な色を持っていた。

「だめだなー、俺。やっぱり、人間じゃねぇのか…。」
「そんなことないよ。」
「いいんだよ。」

いいんだ、と自分に言い聞かせるように呟く。視線は空の星に。

「俺は、忘れないから。」
「…。」
「化け物になっても、例え我を失っても、お前を愛してることは…守り抜くことは。」

「 それだけが、俺の真実だ 」

そう言って振り返った平助君の視線が私とぶつかる。その瞬間に私たちは足りない隙間を埋めるように抱き合った。強く、だけど震える平助君の手は悲しかった。愛しかった。

(守ってもらいたい、守ってあげたい)

薄桜鬼/平助ゆめ
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